帽子の選び方
坊主頭にとって帽子はただのファッションアイテムではなく、頭部を保護する実用品だ。
料理人が食材によって包丁を使い分けるように、坊主頭も季節や天候に合わせて帽子を選ぶのだ。
日差しがキツければキャップやハットを、寒さで凍えそうならニット帽を選ぶ。それが坊主頭の帽子の選び方だ。
実用にかなっていれば帽子選びの9割は終了している。
家にある帽子で十分なケースも多いだろう。
坊主だからといって特別な帽子は必要ない。
顔の形や髪型より大切なこと
とはいえ諸君が気になるのは、自分に似合う帽子についてだろう。
私の考えでは外見より本人のキャラクターとの相性で選ぶことが大切だと考えている。
たとえばスケーターファッションがいちばん似合うのはスケートカルチャーに精通している人間だ。顔や髪型なんてどうでもいい。素人が大工の服装を真似したところでコスプレでしかない。ホンモノの雰囲気は決して出せない。
坊主全員に似合う帽子なんて存在しない。
坊主に似合う帽子はあなた自身のキャラクター、人となり、生活の延長にしかない。
髪型や顔の形から似合う帽子を選ぶ方法をよく見かけるが、私は懐疑的だ。そんなことで似合う帽子が見つかるのか。
自分自身、そういうメディアのサイトを読み込んだり雑誌のコーナーを参考にして帽子を選んだことがあるがさっぱり駄目だった。
似合う似合わないは顔や髪型だけで判断できないものだと思う。
そもそも似合う似合わないってなんだ?
ファッション業界の人間だってキャップやニット帽、ベレー帽など被り分けているじゃないか。顔の形だけで似合う帽子を選べるほど単純な話ではないとわかる。
坊主とファッションで書いたように無理せず自分らしい帽子選びが大切だ。
ベーシックな帽子を被る
しかしどんな帽子が自分らしいかなど、普通は考えたことがないだろう。それに内面も外見も日々移り変わるものだ。悩みは尽きない。
だからひとつの提案なのだが、ひとまずベーシックな帽子を選ぶというのはどうだろう?
誰にでも似合う帽子があるとするなら、それはやはりシンプルでベーシックな帽子に違いない。
たとえばヒョウ柄のTシャツより、白無地のTシャツのほうが似合う人が大半だろう。それと同じことだ。
私なんかは服も帽子もベーシックなものばかり選んでいる。
服ごときに一喜一憂したり、ファッション好きをアピールするかのような服はナルシスト過ぎて嫌いなのだ。
飽きにくく、買い替えやすく、さりげなく、主張が少なく、服同士の組み合わせで悩むことがない。
そんな帽子選びは私らしい。
おすすめのブランドはニューハッタン

ベーシックな帽子を作っているのがニューハッタンというアメリカのブランドだ。
キャップ、ハット、ニット帽などベーシックな帽子を安価に手に入れられる。
坊主は汗や皮脂汚れが帽子に付きやすいため、坊主歴の浅いうちは手荒に扱ったり気軽に洗える価格帯のほうが安心できる。
複数個買ってローテーションすることも容易だ。
しかもそのデザインは折り紙付きで、様々なブランドがニューハッタンの帽子にロゴを入れて販売している。いわゆるボディメーカーだ。
中でもおすすめは下で紹介するキャップだ。
ハットやニット帽を被ったことがない人もいるだろう。しかしキャップなら帽子に慣れていない人でも比較的被りやすいはずだ。
ベースボールローキャップ
いくつか種類がある中からツバがカーブしたベースボールローキャップをおすすめする。ベーシックで季節や年齢関係なく被りやすく、なんと言っても安いからだ。
素材はコットンツイル、ナイロン、コーデュロイなどある。温かみのあるコーデュロイも素敵だが、ひとまずコットンツイルを買っておけば間違いない。
もちろん私も愛用していたことがある。
いまは気分を変えてコットンツイルのフラットバイザーローキャップを年中使用している。どちらもいいキャップだが、ベースボールローキャップのほうが安い。
特別なこだわりがなければ、色は黒がいいだろう。ベーシックかつ汗じみが目立ちにくい色だからだ。坊主は髪の毛で汗染みを防ぐことができないのが欠点だ。
ベースボールキャップ(コットンツイル)の品番は1400
フラットバイザーキャップ(コットンツイル)の品番は1480
ニューエラ 59FIFTYもいいがおすすめはしない
さて、キャップと言えばニューエラの59FIFTYが思いつく。メジャーリーガーが公式試合で着用しているあの帽子だ。ヒップホップ系の人やファッション好きも被っている。
もちろんニューエラもいいし、個人的にも好きで何年も愛用していた時期がある。ニューヨークヤンキースのネイビーカラーを愛用していて、いまでも大好きだ。
ただMLBチームの刺繍やニューエラのイメージから、無地キャップと比べてメッセージ性が強い。少し人を選ぶ帽子だと思う。
加えて価格もそこそこするため、「ひとまず買う」には積極的におすすめはしない。サイズ調整機構がなく通販ではサイズ選びが難しいのも困りものだ。
ニューエラっぽい形のキャップはニューハッタンからも出ているが、OTTOもいい。OTTOはニューハッタンと同じくボディメーカーで老舗だ。
安価にキャップを購入できる。それにサイズ調整機構が付いているため、通販で購入してもサイズの失敗がない。
いまはニューハッタンのフラットバイザーキャップを被っているが、次にニューエラ系のキャップを買うときはOTTOから選ぶつもりでいる。
バケットハット/メトロハット
バケットハット、もしくはメトロハットもおすすめだ。
慣れていない人にはとっつきにくいデザインかもしれないが、ツバが長い紳士的なハットよりもラフに被れて使いやすい。
バケットハットはてっぺんが平たく、メトロハットは丸みがあるのが特徴だ。
ツバが全周にあるため日よけしやすいのが魅力だが、最大の魅力は硬い部分がなくて洗濯機で洗いやすいことだ。
坊主は帽子に汗や皮脂汚れがつきやすい。そのために洗いやすいことは大きなメリットになる。
夏場は汗じみが目立たない黒、もしくは白がいいだろう。
私はいまでこそキャップばかりだが、かつてはよくバケットハットを被っていた。芯がなく柔らかいため、Tシャツやズボンと一緒に洗濯機や乾燥機にかけていた。
被りたては馴染みがなく少し恥ずかしかったがすぐに慣れた。
雑に丸めても型崩れを起こすことなくバッグに収納できるため、ヘルメットを被るバイクツーリングに持ち出してもいいだろう。
欠点といえばサイズ調整機構がないことだ。
S/MとL/XLサイズの2種類とも試して、S/Mでちょうどよかった。L/XLでも被れたが強風で飛んでいってしまった。
坊主にすると毛量が減り帽子のサイズが小さくなることがあるから注意が必要だ。
バケットハットの品番は1500
メトロハットの品番は1545
ニット帽
冬の坊主は耳が冷たいが悩みのタネ。
ニューハッタンのニット帽は買ったことがないが、アクリル素材のモデルは見たところ耳まで覆うことができて暖かそうだ。
ロゴ付きで似た形ならカーハートが鉄板だ。カーハートは愛用していたことがある。しっかりと深さがあり、耳まで覆ってくれた。
ただしニット帽で耳まで覆うとメガネごと締め付けられて痛みが生じることがある。私はそれが苦痛で、耳まで覆うニット帽は被らなくなった。
その際は浅く被るか、そもそも浅いニット帽を選ぶといい。先に紹介したニューハッタンのキャップと同じ形でコーデュロイやウール素材バージョンがあるから、そちらを選ぶのもいいだろう。
見た目なら浅めのニット帽のほうが好きだ。
浅めのニット帽がいいならミリタリーブランドのロスコがいいだろう。これも好きで愛用していたことがある。アメリカ製なのに安く、服好きも認める一品だ。
こだわりがないなら色は黒がいい
帽子の色は黒をおすすめする。
なぜなら服装を選ばず合わせやすい上に、汗じみが目立ちにくいからだ。
坊主は毛量が少ないため、おでこ周りに汗じみが生じやすい。
先に紹介したニューハッタンのベースボールのネイビー色を被ってランニングをしていた。強度を上げて汗だくになり、ふとキャップを取ると汗じみがクッキリと移っていた。4月のことだった。
Tシャツの脇汗と同じような恥ずかしさがあった。
たまには派手な色を被ってみたくなるが、まず買うなら汗じみを気にしなくていい黒がいいだろう。
汗をかかない時期なら好きな色を選ぼう。
水泳帽のような生地には要注意
生地が薄かったり、メッシュ系の帽子は注意しよう。
水泳のときの野球部のように、水泳帽から毛が飛び出してマヌケな印象になるからだ。
パタゴニアのダックビルキャップという、アウトドア系で鉄板のキャップがある。後頭部が白いメッシュになっている。
これを被ると毛があちこちで飛び出して、いささかかっこ悪い姿になってしまったことがある。
サロモンのスポーツ系キャップでも同じ現象が起きた。軽量なキャップだったため生地が薄く、毛が突き抜けやすかったのだ。
しっかり短く刈り込まれた坊主なら問題ないだろうが、私のように2cm前後の長めの坊主が好みなら注意が必要だ。
この記事でおすすめした帽子で毛が飛び出したことはない。