坊主頭のメリットをひとことで表すなら「究極の合理性」だろう。
あらゆるコストを削減し、髪にまつわる悩みを消し去ってくれる。そして合理的だからこそ生まれるかっこよさがある。まさに機能美だ。
ある意味、レーシングカーや戦闘機と同じだ。
もちろんデメリットはある。
が、そのデメリットを凌駕するメリットがあるからこそ10年も坊主頭を続けている。
メリット
お金の節約
最大のメリットはお金の節約だ。
たとえば、
・3000円の床屋に2か月に1度通う
・5000円のバリカンを使って定期的にセルフカットする
このシチュエーションで1年間でかかる費用は以下のとおりだ。
・床屋18000円/年
・坊主5000円/年
・13000円/年の節約
ここに交通費が追加されるため、実際はもっと大きな差となる。
3年の場合はどうだろう?
・床屋54000円/3年
・坊主5000円/3年
・49000円/3年の節約
パーマやカラーリングで毎回1万円近く出費している男性もめずらしくないだろう。
・床屋6万円/年
・坊主5000円/年
・55000円/年の節約
・16万円/3年の節約
もちろん身なりを整えるのは大事だ。
かっこよく見られたいのも本音だろう。
だがそのためだけに馬鹿にならない金額を支出し続けるのか。
坊主なら浮いたお金でマッサージに通うことも、親孝行することも、奥さんにプレゼントを贈ることもできる。物価上昇で息苦しい世の中だが、自分や他人にささやかなプレゼントができる。
美容院でイケてる髪型にしてもらう体験と同じぐらい有意義なお金の使い方だと思う。
手間と時間の削減
・髪を乾かす
・寝癖を整える
・美容院で半日潰れる
・話の合わない美容師と過ごす居心地の悪さ
・自転車に乗った際の前髪の乱れ
このような髪にまつわる手間や時間を大きく削減できるのが坊主頭だ。
文字にするとこの程度のことだが、実際に体験するとヤミツキになる。坊主頭にすることでいかに前髪に気を取られ、ドライヤーがめんどうで、美容院に通うのが億劫だったかがわかるだろう。
ミニマリズムとの親和性が高く部屋が片付く
坊主頭にするとシャンプーやリンスは体洗い用の石鹸1個に、バスタオルはハンドタオルに置き換えることができる。
そしてドライヤーや整髪料はゼロにすることができる。
つまり坊主頭は部屋が片付く。
坊主頭はミニマリズムと親和性が高いのだ。
ただしモノを減らすために坊主頭にするというのは少し乱暴な気もする。
自分にとって必要なものや大事なものを見極めることがミニマリズムの本質だと思う。モノを減らすことは手段であって、目的ではないはずだ。
前髪に振り回されない
前髪をいじる。
あれほどカッコ悪い仕草はない。いくらなんでも気障すぎる。先のとんがった革靴と同じぐらい好きになれない。
気持ちはわかる。
私も学生時代は外の景色を見るフリをして、実は窓ガラスを見て前髪を整えていた。当時は周りにバレていないと思っていたが、思い返すと絶対にバレていた。
自転車に乗るときは前髪の分け目が乱れないように顔の角度を調整していた。下り坂では前髪を押さえながら乗っていた。
前髪が乱れる風が強い日は大嫌いだった。
だが坊主頭にして前髪の呪いから解放された。
ほんとうにかっこいい男というのは、前髪なんて気にぜずさり気なく生きているものだと気づけた。
もちろん「坊主頭にしてかっこつけていない自分を演じる」とうのはこれまた気障でかっこ悪いことだが、いつも前髪をいじっているよりはマシだろう。
気障であるより、粋でありたいものだ。
床屋に行きたくないコミュ障でも高いクオリティでセルフカットできる
私は坊主にする前はハサミでセルフカットしていた。
当時高校生だったのだが、モテるクラスメイトが自分で髪を切ってると聞いて真似をしてみたのが始まりだ。
だがそれはきっかけで、いちばんの理由は「床屋、美容院に行きたくない」というのが大きかった。
子どもの頃から慣れない場所で知らない人と近い距離を保つというのが苦痛で仕方なかった。
この表現は好きではないが、いわゆるコミュ障だ。
30代になったいまでも床屋や美容院には行きたくない。
ハサミでセルフカットを始めた当初は失敗もした。短くしすぎたり、毛量を削りすぎてハゲのようになってしまったりした。
大学生になる頃にはすっかり上達して、知人から散髪を頼まれるほどになった。
当時は学生だったから失敗しても支障はなかったが、大人になってからだと社会生活があるため失敗ができなくなる。
だが坊主頭なら失敗のしようがない。
バリカンで頭を撫でるだけで、一定のクオリティで丸刈りにできる。
床屋に行きたくないがハサミでセルフカットも心配という人には坊主頭の恩恵は大きいだろう。
床屋で髪を切るという不安から一生解放されるのだから。
デメリット
散髪の頻度が増える
床屋や美容院に行く頻度は2〜3か月に1度が多いだろう。
しかしセルフカットで坊主頭にするなら月に2〜3回は散髪が必要になる。一定の長さを保ちたい場合は3日に1回の頻度で散髪する人もいる。
10分もあればすっきりと刈ることができるが、やはり手間なのは間違いない。週に1回でもめんどうに感じる。
しかしそれでも、年に何回も床屋へ通うよりは楽だ。セルフカットなら夜中だろうが早朝だろうが関係ないし、圧倒的に時間と場所の自由度が高い。
加えて私のライフスタイルでは問題にならない。
まずスーツを着るようなお硬いシーンに出向くことがほぼない。そして年中なにかしらの帽子を被っている。だから散髪の頻度は月に1〜2回程度と少なめでも問題ないのである。
服装に厳しくない社風や職業であれば、散髪はある程度サボることができる。
暑さ寒さ対策が必要になる
小学生のころ「毛は体を守ってくれる」なんて教えられたがピンとこなかった。
それが坊主頭になったいまではよくわかる。焼けるような直射日光から頭皮を守り、耳がちぎれるような寒さから脳みそを保護してくれるていると。
髪の毛は暑さ寒さ対策に大きな役割を担っていたのだ。
頭皮むき出しで過ごして「慣れる」というのもひとつの手だろう。坊主頭そのままで出歩いている人も町中でよく見かける。
だが私は肌が弱く、紫外線に当たると痒くなる事がある。
だから毛の長さは2cm前後とやや長めの坊主頭にしている。頭皮は毛で覆われた長さのため紫外線を防ぎつつ、寒さにもある程度対応できる。
数年前は夏は短め、冬は長めと季節ごとに長さを変えていたこともある。ヘアスタイルの衣替えのようなイメージだ。
くわえて帽子を被れば困ることはない。
イカつくなる
社会生活を送る中で、坊主頭で困ること筆頭かもしれない。それは見た目がイカつくなる場合があるということだ。
単純に見た目がイカつくなる人もいれば、周りから先入観を持たれることもあるだろう。
私は眉毛が薄くつり上がっており、しかも一重だ。ヒゲも生やしている。
傍から見ると近寄りがたい雰囲気だと思う。
しかしフレームが大きめのメガネで目元の印象を変えてしまったり、帽子を被って坊主を隠してしまうなどの対応は取れる。
とはいえ、そんなものはその場しのぎでしかない。
大事なのは中身であり品性だ。
坊主芸人の今井らいぱちさんのYoutubeを観てほしい。
深夜に町中の人に声をかけながらの企画だが、どうだろう?失礼ながら坊主の今井らいぱちさんより町中の人の方が近寄りがたいのではないだろうか?
むしろ今井さんはイカついというより爽やかだ。表情が豊かで言葉遣いも丁寧。怖さを感じさせない。
坊主のイカつさで悩んでいる場合、坊主だからイカつく思われるのではなく、イカつい内面を髪の毛で隠せなくなったケースもあると思う。